1月からsenior centreの地下にあるwood carpentry club(木工細工)に復帰した
親方。冬は庭仕事が出来ないので、暖かい室内で機械を操作しながら自分の
好きなもの作りたい。できれば、木工の技術も身につけたい、と願っている親方
はかつて、庭師の道に進む直前まで大工の勉強もしていたそう。今まであまり
木工の技術を活かす機会はなかったが、senior centreに行ってから見事に
返り咲いた。
↑親方が廃材をリサイクルして作ったスクリーン。
じつに興味深いsenior centreの木工クラブ。設備も材料のほとんどが個人や団体か
らの寄付で運営されているそうで、木工クラブのメンバー全員(経験豊かなおじいち
ゃま)もボランティアでsenior centreの修繕を手伝ったり、バザーで売る作品を製作し
たり、時にはビギナーの指導をしたりと、centreの収益を潤している。centreからの視
点でみたら設備も労力も莫大な投資なしで、自発的に集まってくるこの不思議な出
会いで作られた環境は、なんて運がいいんだと思います。 きっと単なる偶然ではな
く、そういう風なかたちになるまでたくさんの人の協力や努力もあったにちがいないで
しょう。話はそれますが、物も人の経験も一度役目を終えてからも廻りめぐって新た
にその役目をスタートできる場所が見つけられるのだと、しみじみ思います。
親方とgirlが今、木工を教えてもらっているメンバーの中にアールという80代のおじち
ゃまがいる。彼は20歳のときにどういう状況かわからないが、電動のこぎりで木材を
切っていた時に左手の人差し指から小指までを誤って切断してしまった。「その頃は
妻も私もまだ若くて、これから将来があるときだったのに、とても悲しかった」と振り返
るアール。その後、彼は電力関係の研究所の仕事に就き、定年まで働いた(木工と
はまったく関係のない内容だったそう)。現在は20歳から連れ添った奥様と8人の孫
とひ孫までいる大家族の大きな柱だ。
アールがどういうきっかけでsenior centreの木工クラブに参加したのか聞かなかった
が、彼はいつも周りのメンバーを気にかけながらも冗談を言って、会話を気持ちよく
盛り上げ、木工クラブにとって重要な存在感をもっている。彼の言葉はいつも印象的
だ。とくに私達がはじめて機械を使うときは、絶対に機械を操作させない、まず隣で
見せる、何を注意するべきか本当にわかるまでアールが何度も私たちに代わって、
機械を操作して見せてくれる。「機械を使うのは簡単だ。でも危険だということを忘れ
ないでほしい」。と左手を見せながら話すその言葉は、彼が今まで乗り越えてきた
苦悩や痛みを感じさせてくれる。そんなアールの言葉や行動からは同じような悲しみ
を二度と他の人にも起こらないように必死に守ろうとしていることが伝わってくる。
彼にしかできないとても意味のある役割だと思います。
↑ 木工クラブの皆さんが作った作品たち。
私もここまでの勇気をだせるかわかりませんが、自分が今までの経験の中で見つけ
てきたものを、自分にしかできない役割として誰かの支えになれたらいいなと思いま
す。今の親方とgirlのでこぼこ道のカナダ生活も悩みや不安もきっといい経験です。
最後に今のアールの現実的な役割と悩みは、ここ数週間、私たちの木工作業に付き
っきりだったため、娘達と孫達に頼まれた木製のプランター作りがまったく進めてい
ないこと(maybe ... or probably)。本当に申し訳ないですが、アールがいてくれたこと
に感謝です。
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