2013年3月26日火曜日

March 24th (Sunday) Spring!


つい1週間前まで暖かかったのに、突然雪が降った。10cm、20cm…と外が真っ白

に覆われていく。もちろん、親方とgirlは外に出て、近所の除雪を行うが1時間もしな

いうちにまた振り出しの状態に戻る。風が強くなってきて、吹雪になる。

隣のジョンが「That's white out」とsnow stormが起こって視界が真っ白になる状態の

ことを説明してくれた。気温もマイナス20度。こんな日は家の中で温まっていたい。

Edmontonの高速道路でも玉突きの衝突事故が起きて道路が滞った。そして、

また隣のジョンが「Because of black ice」と気温が急激に降下することによって路上

の雪解け水が先に凍り、その上に雪が降り積もることで見た目に路面の状況が確認

しづらいという状態のこと。カナダで2回目の冬を越える私にとっては、新鮮な言葉で

あるが、ジョンにとってはもう何十年も繰り返してきた言葉なんだろう。

しかし、そんな雪に関わらず、マラソンに出かけた人がいた。メリーだ。

メリーは親方とgirlが手伝っているシニアセンターのボランティアリーダーで、先祖

代々からのカナダ生まれのCanadianだ。シニアセンターの中では、メリーは誰に

対してもフレンドリーで、なおかつ気配りもあり、すごく好感の持てる印象の持ち主。

そんなメリーが休日にはマラソンとcookingをして過ごしていると出会った頃から聞い

ていたが、去年のEdmontonマラソンで自己ベストを更新してからさらにメリーからマ

ラソンの話題が加速した気がする。

「運動が好き。マラソン、ヨガ、ウエイトトレーニング、時々ズンバ(カリビアン風のエア

ロビックス)」と楽しそうに話すメリーを見ながら、「私もメリーのようにアクティブな人

間になりたい」と遠くから憧れていた。



今年の冬にgirlがSeasonal affective disorderとhome sickにかかってからシニアセンタ

ーのボランティアに行くことが億劫になってしまい、しばらくホリデーをもらった。メリー

も親方を通して、私の状態を心配してくれていた。そんなある日、メリーが「インディア

ンカレーを一緒に作ろう」と誘ってくれた。戸惑いながらも日曜のお昼にメリーの家

に訪問した。その日も朝から16km走ってきたというメリーは疲れも見えず、さわやか

だった。girlもさっそく気合を入れて準備に取り掛かろうとしたら、なんとメリーは前日

に材料をすべて買い揃え、チキンをオーブンで丸焼きにして、身をそぎ落とし、パック

していた。それ以外にもほとんどの材料はメリーが仕込みをしてくれていたので、私

に与えられた仕事は味見だった。

「just relax!」とメリーが作ってくれたカフェオレを飲みながら、横から見学する。よく見

るとメリーの作業は手間を惜しまないというか、レシピの中の工程にひと工夫を加え

ている。たとえば、レシピには粉状になった調味料を使うと書いてあるが、メリーは粉

に加工される前の種の状態のものを買ってきて、フライパンで軽くトーストしてから、

グラインダーで粉に挽いている。「こっちのほうが香りがいい」と話すメリーは丸焼き

にしたチキンの骨も香り付けに再利用していた。骨でスープのダシをとってから、トマ

トやバターを加えてカレーのベースを作る。「時々骨をとり除くのを忘れて、家族から

苦情を言われるが、こっちの方が絶対おいしい」と自分のやり方で突き進むメリー。

いよいよ味見の仕事がきて、一口食べる。少し辛いが調味料から作った自家製バタ

ーチキンカレーは風味があって美味しかった。しかしgirlの頭の英単語の中には、

「spicy」としか出てこず、微妙な味を表現するのはまだまだ経験が必要だった。そん

な頼りない味見係りの横でメリーも一口食べて、「spicy」と眉をよせて何を足せばい

いのか解らない状態だった。
 


カレーがひと段落してから、メリーがマラソンについて話してくれた。マラソンを始め

たきっかけは、5年前に遡る。当時、メリーも今の私のように突然にSeasonal affective

disorderの症状が現れ、何をするにも億劫で寂しかったと話す。そんな中から自分の

状況を変えなければと思い、スポーツクラブでランニングを始めた。はじめはゆっくり

のペースで少しずつ距離をのばし、1年目で5kmが楽に走れるようになったそう。

10kmに挑戦した矢先に膝を怪我して、一時は走ることにストップがかかったが、見事

に回復して同じ場所に戻ってきた。今では21kmのハーフマラソンのレースにも参加

している。

「自分がどんどん走れるようになっていくのは、うれしいが、何よりも一緒に走ってく

れるチームがいることが自分を支えてくれる」。メリーにとって走り続けることは、

メリーがほしかった自分の居場所を守っていくことなのかな。

「20歳で上の娘(リビー)を身ごもって、23歳で下の娘(アシュリー)が生まれた。それ

から自分の時間はなかったし、家族を何よりも1番に優先にしなければならなかっ

た。夕方に夫と交代してパートタイムの仕事に出かけたが、日中はほとんど家にい

て、誰とも会わなかった」とこれまでの生活を話してくれるメリー。

「今のシニアセンターの仕事は楽しい。シニア達からcookingを習えるし、ボランティア

のみんな(私たちも含めて)からいろいろなことを学べる。そしてあと3年で上の娘が

20歳になるなんて、信じられない」。

メリー37歳。彼女がこれまで話してくれた人生の中で、素敵な人たちに出会えたこと

はgirlにとってもこれからのカナダの生活に対する暖かい励ましに聞こえました。

私もいつかメリーにならんで走れるように、前向きに走っていこうと思います。


Edmontonももうすぐ春です。






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