2012年9月20日木曜日

September 19 ( Wednesday) my great teachers - part2-

ようやく、長引いていた風邪がおとなしくなり、以前と同じように外で動き回れるように

なりました。気候の変化のせいでしょうか。夏は過ぎたというものの、昼は23度から

27度と暖かく、朝夜には3度まで下がる。カナダ生活2年目の私たちの体がびっくりす

るのも仕方がない。



お腹の不具合に良いと平塚ヤスさんが「百草丸」という錠剤をお勧めしてくれた。

長野県が発祥地の百草丸は例えるなら正露丸のゴッドファザーという関係でしょう

か、その歴史は長く、効能にも信頼性があるという。

食べ物を受け付けなかった私の胃腸にもすぐに届いて痛みを楽にしてくれました。

前置きが長くなりましたが、今回もgirlのカナダで出会った先生との交流について

書きたいと思います。

【 taichi とルース 】



taichi(タイチー)は、太極拳のひとつ。Girlは、過去に太極拳の無料体験に参加して

見事に挫折してから一度も馴染みがなかった。けれど、今ではsenior centreで週に1

回、シニアの方たちと一緒にルースからtaichiを習っている。

ルースと初めて出会ったのは、私たちがカナダに来て、まもなくsenior centreでボラ

ンティアを始めたときのこと。ルースの第一印象は、小柄で白髪とかなりの年季が入

った顔のしわが特徴的だ。カナダのマダムたちによく見られる化粧気や派手な服装

はなく、物静かなで落ち着いた雰囲気のなかに好奇心の強さを感じさせるきらきらし

た目をもったお婆さん。



ベランダで1人座っているルースに私から話かけた。ルースは驚くこともなく、笑顔で

話をはじめ、私はその時、はじめてルースが青年期にノルウェーからカナダへある事

情により移住してきたことを知った。ルースも全くの異文化の国の言葉を覚えるのに

多くの時間と努力が要ったと話す。その言葉はまるで私への励ましにも聞こえた。

そして、カナダと日本との間にあった悲しい歴史についても教えてくれた(他の機会

にご紹介したいと思います)。




ルースとの距離が少し縮まったが、彼女には昔から人の名前を覚えるのが不得意

だったそうで、私の名前を覚えてくれたのも何度も復唱して今に至るそう。

もう200回近く顔を合わせている親方においても、どうしてか名前がなかなか出てこ

ないと首をかしげるルース。



そんなルースは、中学校の教師をしていた時も生徒の名前を覚えるのに頭を抱え続

けたそう。教えることを専門としていた彼女はtaichiの時間でも、お互いに向かい合い

動作を確認しあうように呼びかけている。そのスタイルは教師時代でも変わらず、生

徒に直接答えを教えるのではなく、疑問を投げかけるとこで、生徒同士が話し合い、

意見を交換しあうことに学習の意味を感じてきたそう。忍耐のいることだけど、お互

いの考えを受け入れる体験は、視野を広げ、人への寛容さにもつながると思う。



「第二次世界大戦のときのことを今でもよく覚えている。ノルウェーはドイツに侵略さ

れ、自分の通っていた学校も街もすべて奪われてしまった。自分たちの国の言葉も

しゃべることが許されなかった。戦争が終わっても人と人が傷つけ合う世界は容易に

なくならない。でも私は人を信じたい」と強く、悲しそうな目で話してくれたルース。


 

辛い体験を乗り越え、人間同士がわかり合う方法を探している彼女は、みんなで行

うTaichiもその方法のひとつで、心を平穏に保つだけではなく、エネルギーを分け合

うことができると話す。そして私たちにもルースのように人と喜びや痛みを共有できる

方法があると思う。



(9月17日、平塚ヤスさん宅にて)

ルース83歳。彼女の好奇心と挑戦はまだまだつづく。

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